インタラクティブ・アートとは

概念として

インタラクティブ・アートという現代ならではのコンピュータ技術を持ちいた芸術分野の新しい方向性についてだが、そもそもこのインタラクティブ・アートとはどのようなものなのかについて、一般的な視点ではどのように語られているのかを考えてみる。まずは単純にインタラクティブ・アートという意味についてだが、

作品と鑑賞者の相互作用に力点を置いた芸術作品の総称

というのが一般的な意味として普及しているという。正直、コレでは具体的にどのようなものなのだろうと疑問に抱く人が多くても仕方がないと思う。あくまで教科書の模範解答的に答えた内容だ、漠然として上手く表情をつかめなくなっているのはこの際不問としておく。注目したいのはこうした定義からどのような方向性を導き出せるのか、といった点についてだ。具体的にこの定義から考えられるインタラクティブ・アートとは、『身体性を前面に押し出したパフォーマンスやパフォーミング・アート』が対象となっている。本来の意味としてはこのような使われ方をしていた、しかしその後インタラクティブ・アートの定義を応用して生み出されることになる。その影響の発端になったのが、コンピュータ技術の誕生だ。

コンピュータが有史として表舞台に出てきたことによってインタラクティブ・アートというものは、『高度な情報科学技術を取り入れたメディア・アート』と重複すると考えられている。本来であるなら人間の身体性を用いたパフォーマンスによって表現されていた芸術であったが、科学が本格的に登場し、技術的にも安定期を迎えたころに芸術分野に導入されたことで、その本質を現代史気に変容させていった、ということになる。科学は人間だけでなく、芸術においても良い意味で影響をもたらしたということと捉えていいかもしれない。

例として挙げるなら

言葉で説明してもイマイチよく分からないという人もいると思うので具体的な作品を挙げながら紹介しようと思う。今回紹介するのは1995年に発表された『スタジオ・アッズーロ』の『コーロ』、『久保田晃弘』の『PureΦ』などがその例として当てはまる。では少し作品についての概要などについても取り上げてみよう。

スタジオ・アッズーロのコーロについて
まずはカメラマンなどの職を経験しながら現在も精力的に活動している、スタジオ・アッズーロが1995年に発表した『コーロ』という作品について考察してみよう。こちらの作品は床に敷かれている絨毯の上に寝転んでいる男女9人が、天井にあるプロジェクターによって投影されている映像が映し出されている作品だ。面白いのが、映し出された人間達を踏みつけようとするとそれに対応するように身をひねったり、または声を挙げたりするなどといったことが起きる。あちこちで巻きおこる声でどこか不協和音を感じさせる作りとなってしまうかもしれないが、そういったところも含めて作品の面白さがにじみ出ており、楽しくも愉快な印象を持つ事がある。
こうした作品の特徴からは他にも、人を踏む行為と敷物が持っている象徴的な意味合いによって、コミュニケーションや力の存在を垣間見ることが出来るとしてインタラクティブ・アートとして先駆的な立ち位置を形成している。
久保田晃弘のPureΦについて
次にこれまたとても独特な作品となっているのが、現在多摩美術大学で教授として就任している久保田 晃弘氏が2008年に発表した『PureΦ』もコーロに負けていないインパクトを持っている。このPureΦについてもスクリーンをキャンバスとして利用し、インターフェースとしての映像絵画を表現するものだ。このスクリーンの前方には4つのデジタル・カメラが設置されており、このカメラから流れてくる情報によってスクリーンは様々な色合いに変化する仕組みとなっている。
ここから先、詳しく説明して行くと専門用語で非常に難解な意味の用語を多用することになってしまうため割愛するが、とにかく凄いということだけ分かってもらえれば十分だ。

共通点として

コーロにしても、PureΦにしても、それぞれ似ていることは鑑賞者が作品に対して身体的介入を行っている点で似ている。こうした特徴が昨今におけるインタラクティブ・アートとして呼称されている。相互作用という作品と鑑賞者の立ち位置によって形成されている作品となっており、その具体的且つ最も分かりやすい例としてコーロとPureΦがその例に当てはまっている。

但し注意して欲しい点として、例え相互作用を要さない独立して完成されているものは、相互作用を内包しているとは一概に述べることは出来ない。見た目的に異なっているかもしれないが、原理的に区別するほどの違いが有るわけではないため、どちらがどちらという明確な立ち位置を示すことは出来ない。広義の意味としてインタラクティブ・アートという1つの芸術ジャンルもあり、さらにそれよりも広い意味で用いられる芸術作品においても相互作用というのは非常に重要なものであることに変わりはないため、キチンと留意しておいて貰いたい。

手段として広まっている

相互作用というものを特に強調しているインタラクティブ・アートと呼ばれるものは、ここ数年の芸術分野において様々な方面で利用されている。ただその利用されているテーマや対象が広大なものとなっており、宇宙的な世界にまで視野を広げて対話できるものや、人間のより細やかな五感への反応に訴える、また皮膚感覚で参加できるものまで増えてきている。先に紹介したコーロなども身体的に介入することで作品のもう1つの側面を垣間見ることが出来るといった特性はコレまでにない芸術のあり方だ。

作品の中には時間や空間の相対性、イメージと言葉の連想作用といったものまで持ち込むことによって、作品の中に文学的な意味合いを持たせるものまで出てきていることから、斬新な作品が多く生まれてきている。思索的なアート作品が出現してきている中、まだまだ多くのインタラクティブ・アートは隆盛を築き上げることになるだろう。本来用いられていた美術としてだけではなく、さらに音楽やテキストといったものまで作品の一部として応用することによって、よりマルチメディアでありながら全身体験を触発するアート作品が今後も多く誕生してくると考えられている。そういわれるとインタラクティブ・アートは今が一番の盛り上がりを見せているのかもしれない。